人を呪わば冷たい鉄の輪
今回はどうやれば呪いを実行できるかについて考えてみようと思う。
基本的に私は呪いの専門家でもなんでもないし、こうすれば
呪えるかも知れない、と書くだけなので実行は自己責任で。
…っていうか呪いって効率的とはいえないんじゃないか?
どういうことかというと、呪いが対象にいきつくまでに結構な
タイムラグやロスが発生するんじゃないか?ということ。
まず呪いは以下のメカニズムからなることを前提条件にする。
・何らかの呪文やまじないで、対象となる物体や人物に影響を与える。
さて、どういう風に呪文やまじないが物体や人物に影響を与えるのか。
・カオス仮説パターン
以前書いたカオス占いに近いのだが、占いの逆を想定してみるといい。
ある呪文やまじないを行ったことがあれやこれやそれや…に影響を
与え、最終的に対象に目的の効果を与える。
つまり桶屋が儲かるために、大風を吹かせて…ってのはちょっと
無理っぽいので目を悪くするような病原体をばらまいて、目の悪い
人を増やして、三味線の皮のためにねこ乱獲されて、ねずみ増えて
桶屋ぼろ儲けいっちょ上が…ってバイオテロかよ!
桶屋の癖にバイオテロかよ!!
…自分が儲かりさえすればいい、って考えは人としてだめだと思う。
(突っ込みどころが違う!!)それはさておき。
…呪いでも何でもありませんね。
ここで言いたいのは、最終的な目標のためにぜんぜんあさっての
行動を行い、その結果最終的な目標を達成させるようなことを
行うのが呪いなのでは?ということ。
…もっと効率いい方法なくはないか考えたほうがよくね?
実際過去の魔術師って…いやそこはとりあえずおいとくか。
・精神に影響を与えるパターン
こっちのがまだ可能性はある気がする。
どういうことかというと、呪いを行った、ということを伝えることにより
相手に精神的ダメージを与えて身体的肉体的に追い込むパターン。
例えばある女性が浮気をされたとする。
それで彼女がトラディショナルなのろいであるところの○の刻参りを
浮気相手の女に対して行うとしよう。やり方はあえて書きません。
でとりあえずこんこん打ったとする。何をだ。
ところで、本来の○の刻参りは知られちゃいけない、といわれているが
実のところ知られなければあんまり意味がないといえる。
相手の女性が彼女が自分を呪ってると風のうわさで知ったとしよう。
気ぃ悪いわな。
気の弱い人ならそれだけでもうどうにかなってしまうかもしれん。
…ところが、である。
悪人はそんなもんでへこむわけがない。
ある意味精神的に強いのだ。効果ないがな。
それにだ。
がっちがちの完全科学信奉者にはぜんぜんまったく少しも効果がない。
仮に呪いやまじないが物理的な影響を及ぼした、彼が被害を被ったとしてすらだ!
どういうことかというと、そういうある意味頭がコンクリ並みの硬度の
持ち主は、物理的な因果関係が証明されない限り絶対呪いのせいだと信じない!
そしてきっとこういうんだ。
「呪い?
呪いなどに、俺の人生を左右されてたまるか。
俺は宇宙の物理法則にしたがって生き、
宇宙の物理法則によって逝くだろう。
すべて、宇宙の物理法則の範囲内だ。」
そう、呪術ってのは相手が信じない限り、無効なのである。
(たとえ実際の影響を及ぼしたとしても、その因果関係を説明できないなら
彼にとってはそれは呪術の影響でもなんでもない、ただの偶然だと思い込む)
というわけで発動に時間はかかるわ、無効化確率はあるわ(へたすりゃ100%)
悪人や性格悪い奴には効果ないわ、科学狂信者にも効かないわと
あんまり良いことないなぁ呪い。
呪ってる暇があったら
いーっまから そいつをー これから そいつをー なっぐりに行こうかぁー♪
やーめてください いやーいたいやめて あいやー やーやーやめてください もういやー♪
普通に殴れる相手だったらとっとと殴ったほうが効率良いかもしれない。
少なくとも悪人だろうが科学狂信者だろうが絶対に効く。100%効く。
見切られたりよけられたりしたらアレですけどね。
とはいえ相手が自分よりはるかに強い立場にいるとしても文明社会だからいろいろあんだろ。
絶対お薦めはできないけれども。むしろやめなさいって。
…て言うかその前に話し合いとか交渉とかほかに人交えるとかなんとかしろよ。
まぁ時と場合によっては殴られてもしょうがないかなって奴いるけど。
ただ…その…なんだ… 格闘技とかやってたら殴っちゃだめだろ。
…もしそれでそれで殴ったら…たとえば私が殴ったとしたら…
とくがわの両腕に冷たい鉄の輪がはめられた
外界との連絡を断ち切る契約の印だ。
「刑事さん…、俺、どうして… こんなこと…しちゃったのかな?」
とめどなく大粒の涙がこぼれ落ち 震える彼の掌を濡らした。
「その答えを見つけるのは、お前自身だ。」
とくがわは声をあげて泣いた。
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